第31回日本運動生理学会大会

この度、令和5（2023）年8月23日（水）、24日（木）の両日、筑波大学・つくばキャンパスにおいて、第31回日本運動生理学会大会を開催する運びとなりました。

日本運動生理学会は、「運動・スポーツの生理学に関する専門的・学術的研究の発展を図るとともに会員相互の連絡と関連諸機関との協力を保ち、広く知識の交流を求める」ことを目的に、平成4（1992）年 12月20日に筑波大学で発足し、毎年国内各所で学会大会（学術集会）を開催するとともに、英文誌「Advances in Exercise and Sports Physiology」、和文誌「日本運動生理学会誌」や関連書籍の編集・発行を行って参りました。一方、本大会開催地の筑波大学は1973年に開学し、2023年は開学から50年目（師範学校からは創基151年目）にあたります。記念すべき年に、この学会が誕生した筑波大学で本学会大会を開催できること、大変感慨深く感じております。筑波大学は、本学会大会を創基151年・筑波大学開学50周年冠事業として認定し、共催しております。

日本運動生理学会はこれまで、運動・スポーツ生理学についての研究の推進とその成果の社会への還元等のため、毎年全国より日本運動生理学会会員、体育・スポーツ指導者、健康運動指導士などが集い、学会大会を開催してきました。学会大会では最新の基礎・応用研究の成果の発表、討論、情報交換が行われております。ここ数年、コロナ禍においてもハイブリッド形式、あるいはオンライン形式で毎年の開催を継続してきた経緯がありますが、つくば大会は対面（新型ウィルス蔓延などで公に行動制限が出された場合にはオンライン）で実施することを考えております。

つくば大会では、運動生理学の新しい研究局面の提案として「アスレチコオミックス研究の黎明」というテーマを掲げます。超健康体ともいえるエリートアスリートの体で起こっていることを詳細に検討し、それを一般の方々の健康のために役立てようとする試みです。一例を挙げますと、エリートアスリートが運動を行ったときに血液中に分泌される成分（エクサカインといいます）には、細胞の代謝を上げ、エネルギーを効率よく作らせる効果を持つものがあることがわかってきました。もし、このような効果を持つエクサカインを代謝が落ちてしまっている方（高齢者、虚弱者）に供給することができれば、その方が持つエネルギーが増え、元気になる可能性があります。健康弱者の減少は日本人の健康寿命の延伸につながり、現在日本で膨れ上がる医療費を大幅に減らすことができ、社会的にも大きな意義を有しているものと確信しております。学会大会ではエリートアスリートのゲノム、代謝物質、腸内細菌などを網羅的に解析する「アスレチコオミックス研究」の可能性を感じ取っていただけたら幸いでございます。

学会大会のプログラムとしては大会長講演、特別講演、教育講演、シンポジウム、キーノートレクチャー、ワークショップ、ランチョンセミナー、健康運動指導士に関する講習会等を計画しており、一般研究発表と合わせ、参加者皆さまにとりまして有意義な大会にしたいと考えております。

この挨拶を書いている2023年1月現在の新型コロナ感染状況は全国的に見ても大変厳しくなっております。国内産の治療薬の使用は認可されましたが、病原性の強い新変異株が生まれる可能性も否めません。学会大会が開かれる8月の状況を予見するのは難しいことですが、現時点では一般演題（口頭、ポスター）を対面で発表していただくことを最優先に考え、リスクを最低限におさえる措置を致します。さらに、オフィシャルな懇親会は中止します。大会プログラム終了後は少人数でつくば近辺の飲食店にお出かけください。大会会場となる筑波大学構内ではマスクの着用をお願いします。本学会大会の感染対応措置については、その都度大会ホームページでアップデートする予定ですので、ご確認をお願い致します。